スリー・シティーズThree Cities

  スリーシティーズはその名の通り、ヴィットリオーザ、セングレア、コスピークワの3つの町の総称です。スリーシティーズは16世紀にマルタを支配するようになった聖ヨハネ騎士団がマルタで最初に築いた街で、オスマン帝国によるマルタ包囲戦に勝利した街でもあります。ヴィットリオーザは勝利の町、セングレアは無敵の町、2つの町の間のボルミアは顕著な町とし、騎士団はこれら3つの町を巨大な防御壁で囲みました。 

<セングレア>

16世紀、聖ヨハネ騎士団がマルタ島に本拠地を移転した時、ほぼ無人であった半島リスラに当時の騎士団長クロード・デ・ラ・セングルの名前からセングレアと名付けられた町が作られ、多くの人が住み始めました。 
ヴァレッタから見たセングレアの町です。先端の城壁上にあるのが、突端に位置するセーフ・ヘブン公園の監視塔ヴェデッテです。 
監視塔ヴェデッテ 
セングレアの半島の先端に、ヴェデッテと呼ばれる海に突き出た監視塔があります。この塔には監視の象徴として、目、耳、鶴が彫刻されています。接近してくる敵対勢力を海と空から、目を凝らし、耳を澄ませて休むことなく監視している事を表しています。
 
監視塔ヴェデッテ は、絶景ポイントで、グランドハーバーを挟んで対岸にはヴァレッタ、右手にはヴィットリオーザの聖アンジェロ砦を一望できます。
ヴァレッタからスリーシティーズへと、フェリーやボートが行き交う地中海の風景を眺めることができました。
ヴィットリオーザへ坂を上る途中、セングレアの街、勝利の女神教会とヨットが停泊するマリーナが見えました。

<ヴィットリオーザ>


ヴィットリオーザは、1530年、マルタにやってきた聖ヨハネ騎士団が最初に築いた城塞都市です。当時の首都は内陸のイムディーナにありましたが、騎士団は、オスマン帝国との戦いに備えて、海沿いのヴィットリーオーザを本拠地とすることに決定し、天然の要塞ともいえる複雑な地形を利用して、高い防衛力をもつ堅固な城塞都市を造り上げました。
アッパーバラッカガーデンの展望台から見たヴィットリオーザです。先端にあるのは聖アンジェロ砦です。1656年にオスマン帝国の大軍が攻めてきた時、聖ヨハネ騎士団の騎士団長が暮らしていたのが聖アンジェロ砦です。今のヴァレッタにあった聖エルモ砦は1カ月の攻防戦の末、オスマン軍の手に落ち、聖ヨハネ騎士団は、この聖アンジェロ砦に立て籠もって戦いを続けました。オスマン帝国軍4万に対し、騎士団は貴族の出身という条件から人数が限られていたため、わずか600人。騎士団の他に傭兵や当時のヴィットリオーザやセングレアの市民も戦いに加わったものの、それでも総数9000人。圧倒的に不利だったにもかかわらず、聖ヨハネ騎士団は戦いに勝利しました。
聖アンジェロ砦の第一の門 
 16世紀の大包囲戦で騎士団が本陣を置いた砦です。騎士団がマルタを去った後は地中海におけるイギリス海軍本部およびNATO6ヶ国連合本部に定められていました。現在では、砦の上層部は騎士団の管轄となっており、現在でも騎士が1人砦に住んでいます。
 
聖アンジェロ砦 
騎士団の時代の戦いは銃器・大砲の時代なので、砦は大砲の飛距離を考えた堀を持ち、また壁も大砲の攻撃に備えた分厚いものとなっています。この砦に騎士団や住民が立て籠もって戦ったわけです。 
聖アンジェロ砦 
首都がヴァレッタに移ると騎士団長の宮殿もヴァレッタに移りますが、第二次世界大戦時にはこの砦にイギリス海軍の本部が置かれました。マルタ包囲戦はオスマン帝国による1565年のものだけでなく、第二次世界大戦時にも行われています。当時のマルタはイギリス領でしたが、地中海の要衝であるマルタは枢軸国から激しい空爆を受け、物資の補給路を断たれました。その時、人々が利用した防空壕が城門の下に残っています。つまり、この砦は二度にわたりマルタの人々が立て籠もった場所で、しかもマルタの人たちは二度とも激戦に耐え勝利しました。
聖アンジェロ砦  
大規模な修復作業を経て、2006年に観光スポットとしてオープンしました。ヨットが停泊する華やかなマリーナや、対岸のセングレアをはじめ、地中海と周辺の町並みを一望できる絶景スポットとして人気を集めています。 
ヴィットリオーザの路地裏 
ヴィットリーオーザの路地裏は、石畳の細い路地には所狭しと建物が並び、散策を楽しむことができます。建物の間を縫うように差し込む柔らかい日差しがはちみつ色の家を優しく照らしています。建物はすべてマルタストーンで作られているため、ハニーカラーで統一されていますが、どの家も出窓の色やドアノブ、プランターなどでそれぞれ個性を強調しています。
 
勝利の女神像 
 
海事博物館  個性豊かなドアノブ 
海事博物館は大戦中に英国軍のパン工場として使用されていた建物ですが、古代から現代までのマルタの航海に関する品や資料が展示されています。
路地を散策していると騎士団の紋章、マルチーズクロスが入った騎士団ゆかりの建物も多く見かけます。各家庭のドアノブも魚の形をしていたり、手の形をしていたり個性豊かです。 
聖ローレンス教会 
ビルグマリーナ&ウォーターフロント 
ウォーターフロントエリアは、ヨットのマリーナを中心に賑わっているエリアです。レストラン、カフェなどが並んでいます。 
 

(2023.9.26撮影)
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