鳥海山獅子ヶ鼻湿原
鳥海山北麓にある獅子ヶ鼻湿原は、湧水群や植物の群落などが国の天然記念物に指定されています。豊かなブナの森が広がっていて、渓流の音に耳を傾けながら、湧水に育まれた森をめぐることができます。「あがりこ大王」をはじめ、異形の巨木群が、神秘の空間をつくりあげています。森には「出つぼ」といわれる湧水池をはじめ11ヶ所から湧き出た伏流水が流れ、約26ヘクタールの広さをもつ、「獅子ヶ鼻湿原」を形成しています。この湿原には、世界的に貴重なコケが広範囲かつ大量に群生しており、流水の中でボール状に発達した「鳥海マリモ」は獅子ヶ鼻湿原でのみ見られるものです。
獅子ヶ鼻湿原入口 | 獅子ヶ鼻湿原コースマップ |
地域のシンボル・霊峰鳥海山の国定公園内にあり、自然休養林に指定されている中島台レクリエーションの数百年にわたる巨木の森は、ブナの異形木群がつくる生命の神秘空間です。海山の伏流水が7か所から湧き出ていて、その流れが約26haの広さを持つ湿原を形成しています。 |
空に向かい大きく枝を広げ成長するブナの生命力の強さや、自然の神秘を感じるだけではなく、その側にいるだけで見守られているような安心感、癒しを与えてくれます。 |
ブナ林の中を木道がすり抜けるように設置されています。木道を歩いて「あがりこ大王」や鳥海マリモを見てまわるコースが設定されていて、約5kmの道のりです。 |
赤川にかかった吊橋を渡ります。 |
ブナの原生林に囲まれています。鳥海山の伏流水が7か所から湧き出ていて、その流れが約26haの広さを持つ湿原を形成しています。 |
燭台と呼ばれるブナ |
太い幹と幹から立ち上がった枝の形がロウソク立ての形に似ていることから「燭台」と名づけられています。 |
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炭焼き窯跡 |
ブナの森を利用した炭焼きは江戸時代末期から行われてきました。この森には26基炭焼き跡が発見されていますが、この窯は完全な形で残っています。 |
あがりこ大王 |
ブナの巨木である「あがりこ大王」は、推定樹齢300年以上といわれており、森の神が宿っているかのような神秘的な威容です。幹回りが7.62mあり、樹高は25mと奇形ブナとしては日本一の大木です。幹が途中から5本程度枝分かれしているのが特徴で、ブナの切り口がコブ状にもりあがっています。江戸時代末期から昭和の時代まで続いていた炭焼きのために伐採した枝が、芽を出し成長を続けたことが、この独特な樹形の理由だと言われています。 |
あがりこ女王 |
「あがりこ女王」は太い幹周りと伸び上がる多数の枝、「あがりこ大王」をひとまわり小さくしたような姿がまさに女王の名に相応しい存在感です。「あがりこ」の呼び名は「芽が上がる」ことに由来します。 |
獅子ヶ鼻湿原にはいくつもの湧水箇所があります。酸性の水質(pH4,5~4.6)で、水温も低い(7.2~7.3℃)のが特徴です。この水質と豊富な水量が獅子ヶ鼻湿原の特異的な環境を生み出しています。 |
鳥海マリモ群生地 | 鳥海マリモの横断写真 |
世界でも珍しいコケの宝庫「鳥海マリモ」は、湧き水の周辺や川底に球状・クッション状に密生しており、50年~100年の歳月をかけて生育すると言われています。鳥海マリモとは、流水の中でコケ類が絡まり合ってボール状に発達した獅子ヶ鼻湿原固有のものです。 苔がボール状に集合しており、大きい物は1mを超え、岩にくっついているように見えますが、実は岩についているのではなく苔自身が丸く生長しているのです。 |
酸性であることをBTBで検査 |
「鳥海マリモ」を構成しているヒラウロコゴケは、日本では八ヶ岳と獅子ヶ鼻湿原の2カ所、世界的にみても、スペイン・イタリア・トルコなどの地中海沿岸でしか生息していない学術的にも極めて貴重なものとされています。「鳥海マリモ」が生育できる条件として、鳥海山系のブナ原生林から流れる多量の流水と、水温が湧水のため7℃と非常に低く、年間を通してほとんど変化がなく、しかも強酸性(phは4~5前後)という水の特性が、世界でも珍しいコケの生育を可能にしています。 |