大王わさび農場
長野県安曇野市にある大王わさび農場は、作付面積15haに及ぶ日本最大のわさび畑です。安曇野随一の人気観光スポットで、「日本の名水百選」に選ばれた「安曇野わさび田湧水群」の一角にあります。
大王わさび農場は、一法人が所有するわさび田としては日本最大とされ、大正期に創業者の深澤勇一が地元の人びととともに開拓を始め、およそ20年の歳月をかけて完成させました。 |
安曇野市北部の穂高地区は明治から大正期にかけては梨の産地でした。ただ、水分量の多い土質が病害を招きやすく、農家の人たちを悩ませていました。少しでも水はけを良くしようと作られた水路で始まったのが、いま安曇野の名産となっているワサビの栽培だったといわれています。1902年、現在のJR中央線と接続する篠ノ井線が開通すると、わさびを使った粕漬けなどを大都市圏に出荷できるようになり、一帯は梨畑からワサビ田へとその風景を変えていきました。梨栽培では悩みの種であった安曇野の湧き水は、冷たくきれいな水が欠かせないわさびの栽培に、無くてはならないものとなったのです。 |
わさびは直射日光に弱いため4月から9月末くらいまでは、「寒冷紗」と呼ばれる黒い遮光シートで覆われています。 |
栽培が始まって1世紀以上をへた現在、長野県のワサビ出荷量は全国1位となり、安曇野産はさらにその90%を占めています。 |
3連水車 |
わさび農場の敷地内には、北アルプスの湧水が流れる「蓼川(たでがわ)」が流れています。そこには昔ながらの情景がそのまま残されており、水辺に佇む3基の水車がゆっくりまわっています。この水車は1990年公開の黒澤明監督が手掛けた映画『夢』の映画ロケ地として知られており、観光・撮影スポットとして有名になりました。美しい川には水草が揺れており、緑豊かな周辺の木々たちも水面に映し出されています。安曇野を代表するこの幻想的な景色を見ると自然の美しさに圧倒されます。 |
|
黒澤明監督の映画「夢」の撮影に使われた水車小屋です。明治時代の水車小屋を再現したものです。水車を流れる川は蓼(たで)川と言って、すべて湧水です。湧水の量は1日に70万トン。この近くにある何十か所のわさび畑を巡って、安曇野で最も低い(海抜520m)この地に集まります。この後、犀川、千曲川、信濃川と名前を変えて、270キロ先の日本海へ流れ込みます。 |
「珍百景」ふたつの川 |
奥に流れる一般河川 万水川(よろずいがわ)と湧水100%の蓼川(たでがわ)、水質の全く違う川が、細長い島をはさんで流れる珍しい光景です。安曇野で最も低いこの地に流れついた2本の川はこの先で合流しますが、水温などの違いからしばらくは混ざることなく流れ続けます。 |
ボート体験も行われます。湧水100%の蓼川(たでがわ)は、水底の水草もはっきり見える清らかな川です。 |
|
|
大王わさび農場では、わさび田からの排水を利用してニジマスの飼育も行われています。池の中には突然変異したアルビノのニジマスもいます。鯉のようですが、脇腹の赤い模様がニジマスの証です。 |
大王わさび農場の前から北アルプスが展望できます。常念岳や大天井岳などが見えました。 |
安曇野わさび田湧水群
「安曇野わさび田湧水群」は、北アルプスからの雪解け水が伏流水となって湧き出し日量70万トンもの湧水量を誇ります。真夏でも水温が15度を超えることがない清らかで豊富な水は生産量日本一を誇るわさび栽培やニジマス養殖を育むなど循環利用されています。 |
国土交通省から「水の郷」の認定を受け、環境省の「名水百選」にも選出された清らかな水が織りなす風景を感じられる公園です。 |
美しい湧水と緑のコントラストが魅力的な場所です。このエリア一帯は「憩いの池」と名付けられています。 |
この湧水群は北アルプスの雪解け水が地下に浸透し、わさび田に湧出したものです。そのため、訪れた日は酷暑でしたが、水に触れてみるととても冷たく驚きました。冬に降った雪が山に染み込んで、地上に湧出したものだと実感しました。 |