青鬼集落
青鬼集落は、白馬岳をはじめとする北アルプス後立山連峰を有するリゾート地である白馬村東部に位置する山村集落です。江戸時代後期から明治時代にかけて建築された茅葺き屋根(現在は鉄板被覆)の家屋や土蔵が軒を連ね、今も住民が生活を営みながら、歴史ある風景を残しています。2000年(平成12年)に、家屋や土蔵、青鬼神社や石仏群といった史跡、山林、堰(用水路)、棚田を含む59.7haが、文化庁の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されました。
青鬼は全15棟の小さな集落ですが、そのうち14棟が伝統的民家で江戸時代後期から明治時代後期に建てられたものです。かつて茅葺きであった屋根は鉄板被覆となってはいますが、素晴らしい景観が見事に保存されています。「兜造り」と呼ばれる屋根になっていて、正面を切り落としたような形にすることで2階部分の採光と通風を確保できます。 |
ガッタリ |
ガッタリは、水力を利用して米をつく道具で、昭和の初め頃までに使われていました。米をつくときの音から一般にガッタリと呼ばれています。「ししおどし」と同じ原理で動き、添水唐臼とも呼ばれています。 |
青鬼集落の家屋には特徴的な屋根があります。その屋根に「水」という文字が書かれています。この「水」と書かれた文字は、火災を防ぐためのおまじないとして屋根に記されています。1900年代初頭に大きな火災が発生したことから、建物を守るために「水」の文字を書く習慣が広まりました。 |
お善鬼の館は、空き家となった建物の修理を行い、公衆トイレを併設して、交流・体験施設として平成17年に完成しました。施設の名前である「お善鬼の館」は、この地区に昔から伝わる「青鬼のお善鬼様」の民話が基となっています。 |
お善鬼の館は、内部を自由に見学でき、休憩などをしながら集落の暮らしを知ることができます。 |
お善鬼の館は、青鬼集落保存会の方々により年間を通して管理されています。 |
青鬼集落には善鬼大明神を祭神とする「青鬼神社」が鎮座しており、昔から続く祭事「火揉みの神事」が執り行われています。 |
集落の北側には長い石段があり、この石段を登ると青鬼神社があります。 |
青鬼神社は806年に創建され、御神体として善鬼大明神(お善鬼様)が祀られています。 |
青鬼集落には「お善鬼様」と呼ばれる、鬼に関する伝説がいくつか残されています。岩戸山をはさんだ隣村、鬼無里村に鬼のような大男がやってきて悪事を働いたため、村人たちは岩戸山の底なし穴に閉じ込めました。その後、青鬼村(青鬼集落)にも鬼のような大男が現れましたが、村人を助け、喜ばれました。閉じ込めた穴が青鬼村まで通じていて、通り抜ける際に改心したのだろうとして、この鬼のような大男をお善鬼様として崇めるようになったそうです。 |
集落の上部に広がる棚田は「棚田百選」に選定されています。訪れた日は大雨で、通行止めになっていたため見ることができませんでしたが、特に田植え後は素晴らしい棚田の風景を見ることができます。 |
(2024.7.30撮影)
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