泉涌寺

  泉涌寺は、真言宗泉涌寺派の総本山です。寺伝にると、空海が天長年間(824-34)ここに草庵を結び、法輪寺としたのが起こりです。1218年に月輪大師が造営するにあたり、清泉が涌き泉涌寺と改められました。1242年に四条天皇の葬儀がこの泉涌寺で行われ、これを皮切りに数多くの歴代天皇の葬儀がここ泉涌寺で執り行われました。四条天皇以来14代の天皇陵をはじめ、皇妃、親王陵墓など39の陵墓があります。皇室との深い関わりから、「御寺(みてら)」とも呼ばれています。
大門 
大門は泉涌寺道を登った所、伽藍の最も高い位置にあります。京都御所の内裏にあったものが江戸時代に移築されたものです。
仏殿 
大門を抜けた先は「降り参道」です。山の上に建立されることが多い寺に「降り参道」があるのは珍しいとのことです。「降り参道」をおりた正面に見えるのが「仏殿」です。泉涌寺の本堂であり、1668年に四代将軍徳川家綱によって再建されました。運慶作の阿弥陀・釈迦・弥勒の三尊仏が安置されています。3月中旬になると、長さ約16m、幅約8mと日本最大の「涅槃図」が公開されます。折りたたんで掲げないと、堂内に収まりきらないほどの巨大な涅槃図です。 
 
 
  勅使門 
舎利殿   
舎利殿はお釈迦様の犬歯(仏牙舎利)を奉安しています。京都御所の建物を移築改装したもので、仏殿と同時代に現在の位置へと移築されました。天井には狩野山雪筆の龍図が描かれています。泉涌寺・舎利殿の龍図は「鳴き龍」として知られており、龍の下に立って手を鳴らすと龍の鳴き声が聞こえます。12年に一度辰年の時だけ特別公開されるというので鳴き龍を見に行ってきました。手をたたくと、音が跳ね返って、体で振動を感じました。
左が仏殿、右が舎利殿 
 
霊明殿唐門   
霊明殿 
霊明殿は、 天智天皇から昭和天皇に至る歴代天皇皇后の尊牌(位牌)を安置しています。1882年に焼失し、現在の霊明殿は、1884年に明治天皇の勅命により再建されました。 
 
浴室  泉涌水屋形 
浴室は床下の鉄釜で湯を沸かす蒸し風呂です。泉涌水屋形は泉涌寺の名の由来となった清泉が地下から湧いた場所です。清泉を覆うように屋形が建てられています。
 
楊貴妃観音堂 楊貴妃観音像 
観音堂に祀られている楊貴妃観音像は、1230年に湛海が宋より招来したという仏像で、長らく秘仏であったことから彫刻当時の彩色がはっきりと残っていて、その美しさが保たれています。

(2024.3.5撮影)
HOME