湖南三山常楽寺

  湖南市に位置する天台宗の古刹「常楽寺」「長寿寺」「善水寺」の総称が湖南三山です。三寺とも創建は奈良時代までさかのぼり、秋の紅葉に彩られた季節は趣のある佇まいが楽しめます。
  常楽寺は、和銅年間(708年〜715年)、元明天皇の勅願で良辨によって創建されたと伝えられています。紫香楽宮の鬼門封じの寺ともいわれています。湖南三山の長寿寺 の「東寺」に対して、常楽寺は「西寺」と呼ばれています。   
本堂 
本堂は、南北朝時代建立で国宝に指定されています。秘仏の木造千手観音坐像が安置されています。二十八部衆立像、雷神、多数の群像がずらりと並び、深い尊厳を感じさせます。
常楽寺はのどかで閑静な集落にあります。桧皮葺の風情ある本堂と、その後ろに悠然とそびえる室町時代建築の三重塔は、共に国宝に指定されています。威風堂々とした名建築で、その重厚さはさすがに圧巻です。 
 
 
長い階段の上には、もう一つの国宝である三重搭があります。高さ23m、幅4.5m、見れば見るほど完璧なバランスに見惚れる名建築です。
本堂横の石段を登ると、三重塔があり、背後の樹林が美しい調和を見せています。 
 
三重塔・本堂の周りには三十三体の観音石仏が祀られています。それら全てをお参りすると、近江西国三十三所観音巡礼したのと同じだけのご利益があるといわれています。  
三重塔は屋根を支える垂木が美しいラインを描いています。室町時代の職人が情熱と技術を傾注した日本古来の素晴らしいデザインです。搭の周囲は樹々に囲まれ、自然との調和も見事です。
 
 
常楽寺は、奈良時代中期に良弁が開いた「阿星山五千坊」の中心として栄えました。平安時代初期には長寿寺とともに歴代天皇の尊崇が厚かったといいます。 
常楽寺には源信が描いたと伝わる絹本著色浄土曼荼羅図、絹本著色仏涅槃図、木造釈迦如来坐像、良弁が愛用したという錫杖など、重要文化財も多数収蔵、安置されています。 
 
 

(2022.11.24撮影)

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