湖南三山長寿寺

  長寿寺で湖南三山の一つです。常楽寺が西寺といわれたのに対し、東方にあるため東寺と呼ばれ、信楽宮の鬼門鎮護の寺とされたていました。長寿寺は、奈良時代後期に聖武天皇の勅願により創建され、1200年以上の歴史をもちます。聖武天皇には世継ぎがなかったので、良弁僧正が阿星山中の瀑布に籠って子宝の祈願を行ったところ、間もなく皇女の降誕を得ました。天皇は、我が子の長寿を願い七堂伽藍廿四坊の寺を建立し長寿寺という寺号をおくり、さらに行基菩薩に子安地蔵を刻ませ本尊としました。中世には源頼朝、足利尊氏の祈願所となり発展しました。 
    
 
本堂に向かって左後方にはかつて三重塔があって、西寺と同じ伽藍配置であったといわれています。その三重塔は信長によって安土へ移築され、現在は總見寺に重要文化財として現存しています。  
長寿寺は130メートルある直線の参道の両脇に百本のモミジが植えられています。緑色のモミジも残っていて、赤や黄色とのコントラストに思わず感嘆の声があがっていました。落葉が参道に積もり、鮮やかな赤のじゅうたんの道ができていました。
    
弁天堂 
 
本堂  多宝塔 
鎌倉時代に再建された本堂は国宝に指定されていて、阿弥陀如来坐像、釈迦如来坐像、丈六阿弥陀如来坐像、春日厨子をはじめ数多くの重要文化財が安置されています。多宝塔はすべて石で造られた石の搭で、聖武天皇の菩提を弔うために鎌倉時代に建立されたものです。
   
 
山のふもとにひっそりと佇む静かな寺ですが、参道を彩る紅葉が非常に美しく感動的です。ところどころに可愛らしいオブジェがあり、参拝者を楽しませてくれています。
本堂に続く130mの参道は紅葉のトンネルになっていました。
長寿寺所有の地蔵曼荼羅は室町時代に作られたとされ、6本の手を持ったお地蔵様を中心に、周囲に約1万2千体の小さいなお地蔵様が描かれた日本で唯一の曼荼羅です。陶板の地蔵曼荼羅はこの曼荼羅を立体で再現したもので、触れることができるようにして展示されています。
    
 
長寿寺の西隣にある白山神社は、長寿寺の鎮守社で、開基はほぼ同年代です。拝殿は、室町時代に建てられた国指定の重要文化財です。 

(2022.11.24撮影)

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