ジブラルタル Gibraltar2

  イベリア半島の南東端に位置するジブラルタルは、地図を見ればまるでスペインの一部かのように見えますが、イギリス領です。ジブラルタルがスペインからイギリス領土となったのは、スペイン継承戦争及び英仏植民地戦争後に締結された1713年のユトレヒト条約により割譲されたのが始まりです。以降、イギリスが統治を続けてきましたが、スペインは今も返還を求めています。ジブラルタルはヨーロッパに残る最後の「植民地」であり、係争が300年もの長きにわたっている点で、世界の領土問題のなかでも異色の存在といえます。 

【朝、入港】

朝、クルーズ船でジブラルタルの西側の港に近づきました。朝日に照らされたジブラルタルを見ることができました。ザ・ロックの北面(左)は、海面高度から標高411.5メートルのロック・ガン砲台まで垂直に切り立っています。ザ・ロックの中心部にある頂点はシグナル・ヒルと言い、標高387メートルです。最高峰426mのオハラ砲台は南側(右)です。オハラ砲台の南(右)の最南端にエウローパ岬灯台があります。
 クルーズ船から見た地中海のサンライズは真っ赤でとてもきれいでした。

<メインストリート>

メイン・ストリートはジブラルタルの主となる商業地域です。道は南北に延び、歩行者天国の旧市街を通り、立ち並ぶ建物はジェノヴァ様式、ポルトガル様式、アンダルシア様式、ムーア様式、イギリス摂政時代様式が混在しています。
 
 
ケースメイツ門   
ジブラルタルの東半分は、象徴であるザ・ロックが占めていて、西半分の市街にはケースメイツ門から入り、メインストリートにつながっていきます。ジブラルタルのメインストリートはイギリスブランドの店がずらりと並ぶショッピングスポットです。 
ジブラルタルは自由港であるため、電化製品、時計、貴金属、香水、酒、煙草などを免税価格で販売する店舗もメイン・ストリートには見られます。 
 
 
目を引くのはイギリス風の真っ赤な電話ボックスや郵便ポストです。イギリス領土を訪れた記念に写真に収めました。
 
歩行者天国になっているため、多くの人がショッピングや飲食を楽しんでいました。 


<聖マイケル洞窟>

石灰岩を形成する方解石は、雨水で徐々に溶かされます。そして、時間の経過で洞窟を形成します。これにより、ザ・ロックには100以上の洞窟が存在します。ザ・ロックの西斜面中程にあるサン・マイケル洞窟はその中でも最も有名なもので、観光名所になっています。 
 
入口 
 
ザ・ロックの岩の真下には数多くの鍾乳洞が点在しているとされ、その中でも最も有名なのがここ聖マイケル洞窟となっています。ジブラルタルの岩山の地下を通る洞窟は24キロにも及ぶとされ、アフリカ大陸まで続いていると言われています。洞窟内は見学コースが設けられているとともにガイドツアーでも廻ることが出来るようになっています。 
聖マイケル洞窟の中には世界的にも珍しいコンサートホールが設置されています。そのコンサートホールでは定期的にコンサートが開かれており、幻想的にライトアップされた洞窟内で音楽に耳を傾けるという非常に貴重な体験をすることが出来ます。 
 
鍾乳石が天井からぶら下がり、それに届けとばかりに石筍が下から伸びています。聖マイケル洞窟はいくつかの洞窟からなり、それぞれがつながっています。上部ホールから進むと、洞窟は入り口から 76.2 m 低い場所まで下っていきます。 

<ムーア城>
ムーア城は、710年間にわたりジブラルタルを支配したムーア人によって建設された城砦です。ムーア人はアフリカ北西部に住むイスラム教徒の混合民族です。彼らは8世紀にイベリア半島を侵略し、そこに定着しました。ムーア城の建設は、8世紀(おそらく711年)に開始されました。
ムーア城の中でも最も目を引くのは岩山の上に聳え立つ「タワー・オブ・ハミッジ」と呼ばれる塔であり、こちらはジブラルタルの町中からも見上げることが出来ます。この塔はスペイン人によるイスラム王朝駆逐の際に一度破壊されてしまい、その後14世紀のイスラム王朝による再支配の際に再建築されたものだそうです。

【夜に出港】
ジブラルタルの港を出港しました。ジブラルタルとスペインの街の灯りがきれいでした。 
クルーズ船でジブラルタルの西側の港を出発してからマラガに向かうために、半島の南(ジブラルタル海峡)を回り、東側にきました。そのため、ザ・ロックを朝とは逆方向に見ることになりました。左がオハラ砲台、右がロックガン砲台でその右がスペイン本土につながります。ジブラルタルは、イベリア半島の南東端に突き出した小半島を占め、南北に5km、東西に1.2kmの領域を持ちます。  
 
ジブラルタルからマラガへ向かいました。南方にかすかにアフリカ大陸の灯りが見えました。 
(2023.11.21撮影)
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