アスワン

  アスワンは、カイロの南899km、ナイル川の東流域にあり、古代エジプトではもっとも南の端にあたる辺境の地です。極端に雨が少ない地域であり、降雨量は限りなくゼロ近くでしたが、他のエジプトナイル沿岸地域と同じく、ナイル川の季節ごとの氾濫によって恩恵を受け、肥沃な土地を持ち、数々の古代遺跡が残される結果になりました。しかし、近代以降ナイル川流域は農地ではなく居住地として利用されるようになり、川の氾濫による恩恵よりも洪水による被害が重く見られるようになり、アスワン・ロウダムとアスワン・ハイダムが建設されました。その結果、エジプトの水は完全にコントロールされるようになり、洪水も干ばつも起こらなくなり、電力にも不自由しなくなりました。しかし、多くの近隣住民は移住を余儀なくされ、多くの遺跡もまた水没してしまうことになりました。


<アスワンハイダム>

 アスワンハイダムは、1970年に完成したナイル川治水のための一大施設です。当時のナセル大統領が、ソビエト連邦(当時)の支援を受け、国家事業として計画を推進し、高さ111メートル、全長3600メートルに及ぶ巨大ロックフィルダムが完成しました。これによって、毎年のように起こっていたナイル川の氾濫は防止され、しかも12基の水力発電装置が安定した電力を供給。不足しがちな農業用水は確保され、砂漠の緑化も進んでいます。
 
 
ダムの上流側には広大なナセル湖が広がっています。   
   
下流側には、発電所の設備が アスワンハイダムとナセル湖  ダムの構造の説明図 
   
ダムの上は観光客がたくさん訪れていました。  アスワンハイダムの記念塔 


<切りかけのオベリスク>

もし、完成していたら最大の大きさになった未完成のオベリスクです。三面は切り取らてていますが、底面が岩盤と繋がったままで、切り離されていません。途中で放棄したのは、岩にヒビが入っていたからです。この未完成のオベリスクのおかげで、その制作工程がわかります。木のくさびを打ち込み、水で濡らして膨張させ、石を割ったようです。
 
 
   
ヒビが入ったため放棄されました。    
   
周りには、古代の神殿や像に使われた花崗岩を切り出した石切り場があります。 

<サハラ砂漠>
 アフリカ大陸北部を占める世界最大の砂漠でアフリカ大陸の3分の1を占めます。北アフリカの大部分はサハラ砂漠です。エジプトも国土の95%以上が砂漠です。
アスワンからアブシンベルまでバスで3時間余、砂漠の中を途中トイレ休憩なしで走りました。まだまだ危険性があるのか、観光警察官がバスに乗り込むという護衛付きの移動でした。

     
きれいな砂の部分がありました。  バスから見える景色は砂漠ばかり。 
   
蜃気楼が見えました。   一部に緑化事業の所がありました 灌漑のための巨大な用水路 
(2017.2.9撮影)