パフォスPafos

  キプロスの西部にあるパフォスは、紀元前2世紀から紀元後4世紀までキプロスの都としても栄え、多くの歴史的文化財が残されているため、町全体が世界遺産に登録されています。広大なパフォス考古学公園には当時の総督や貴族の屋敷跡があり、邸内にはギリシャ神話などから題材を得た多くのモザイクが残されています。


<パフォス考古学公園>

2~7世紀にかけてのさまざまな遺跡が点在しているのがパフォス考古学公園です。キプロスの貴族や行政官の邸宅だったと言われる大規模な建物の跡地や、集会などが行われたアゴラ・オデオンと呼ばれる円形劇場などがあります。とくに神話をあしらった美しいモザイクタイルで装飾された家々を見学できます。それぞれモザイクタイルに描かれた神々や英雄の名をとって、「ディオニソスの館」「テセウスの館」「オルフェウスの館」などと呼ばれています。 
パフォス考古学公園入口ゲート 

【ディオニソスの館

 2世紀末に建てられた、中庭を中心に部屋が並ぶ2,000㎡のグレコ・ローマン期の邸宅です。うち、55㎡の床がモザイクタイルで装飾されていて、神話の場面やブドウの収穫、狩りなどが描かれています。入り口にはスキュラを描いたヘレニズム期のモザイクが、古代ローマ時代の建物の下から発掘されています。建物は4世紀の地震で損壊しています。
 


【テセウスの館】

テセウスの館は、2世紀に建造され、7世紀まで使われました。部屋数が100をこえる大規模な建物であるため、キプロスの行政官が暮らした邸宅だったと考えられています。3世紀後半か4世紀に作られたテセウスとミノタウロスのモザイクがもっとも古いものです。
 


<パフォス城>

パフォス城は、東ローマ帝国時代に建てられていたサランタ・コロネスの砦が地震で崩壊したため、代わりに港の突端に13世紀のフランス系キプロス王国時代に造られたものです。
時代の変遷と共に城塞の利用目的も変化し、防衛施設、牢獄、英国支配時には塩の倉庫として使われていました。現在は史跡として公開されると共に、9月に行われる芸術祭での演劇会場としても使われます。 
パフォス城周辺は、観光地として、港として賑わっていました。 

<アフロディーテ神殿>

アフロディーテ神殿は、紀元前12世紀に建設された豊穣神であるアフロディーテを祀る神殿です。古代よりパフォスで豊穣多産の神として信仰されていたヴィーナスは、ギリシャ最古の歴史叙事詩ホメロスのイリアスで美と性愛の女神とされ、女神アフロディーテに発展していきました。  
 柱やモザイクが僅かに残るだけですが、遥かな時の流れに思いを馳せることができます。
 
 
パレパフォス博物館  パレパフォス博物館の展示物 
 アフロディーテ神殿に隣接してパレパフォス博物館があり、モザイク画や石棺、壺などを展示しています。

(2023.9.22撮影)
HOME