リマソルLimassol

  リマソルはキプロス第2の都市で、沿岸に美しい風景が広がり、ワインの産地としても有名な街です。貿易港があり、海沿いにはオーシャンビューのホテルや新鮮な魚介類を使ったシーフードレストランが立ち並びます。また、古代都市遺跡の「クリオン」をはじめとする歴史的価値の高い遺跡も多くあります。 


<クリオンの古代遺跡>

クリオンの古代遺跡は紀元前14~13世紀頃にギリシャ・ペロポネソス半島のアルゴスからやって来たアカイア人の植民地として発展した都市です。紀元前8~5世紀に最盛期を迎えました。4世紀の大地震で壊滅的な被害を受けましたが、古代キプロスの、考古学上もっとも重要な遺跡が残されています。

【ローマ式野外劇場】

ローマ式野外劇場紀元前2世紀のヘレニズム時代に3500人収容で作られ、紀元2世紀に2000人収容で再建されました。古代遺跡でありながら今でも演劇やコンサートなどのイベントで使われている現役の劇場です。古代には演劇や歌劇のほか、動物闘技などが催されていました。
今でも様々なイベントが催されるグレコローマン式野外劇場です。ほぼ当時の姿のまま残っていて、その大きさといい、ロケーションといい、圧巻です。3500人の観客を収容できる階段状の半円形の観客席からは、ステージとその背後に紺碧の海原を見下ろすことができます。
 
座席の下にある入口からはアフリカから連れてきたライオンなど出てきて、動物対動物の戦いが繰り広げられていました。
ステージの中心に立って音を発すると反響するようになっています。勇気のある観光客がソロで歌っていました。  

【エウストリオスの館】
エウストリオスの館は、ローマ時代の初期に住居として建てられましたが、大地震が起きた365年の後の408年〜450年に大規模な公衆浴場及びレクレーションセンターとして改築されました。 
床のみが残されている「エウストリオスの館」は、風雨からの保護のため屋根で覆われています。地中海が見える高台にあります。
 
建物自体は残っていませんが、5世紀に造られた浴場の床のモザイクは見事です。ここには2種類の温度のサウナと水風呂があったと言われています。モザイクに描かれている婦人は、右手にローマ人の足と同じサイズのメジャーを持っています。


<コロッシ城>

コロッシ城は、13世紀にヨハネ騎士修道会によって建立されました。十字軍が遠征の際、ここを拠点として戦った歴史があります。ほぼ真四角の3階建ての建物の内部には、磔にされるキリストの姿を描いたフレスコ画が残っています。 
城というよりは砦です。堅牢な石造りの3階建で、出入口は2階部分にある跳ね橋のみで、軍事用の要塞の造りです。
 
内部には狭い螺旋階段があり、1階から屋上まで見学することができました。 
 
屋上からはリマソル郊外の景色を見ることができました。 


【アポロ神殿】

アポロ神殿は紀元前8世紀から4世紀頃までクリオンの守護神として信仰されていた森林の神アポロを祀った神殿の遺跡です。ローマ皇帝トラヤヌス帝まで発展しましたが、4世紀後半の地震で倒壊しました。
アポロ神殿 
宿舎や門の跡 

【ペトラトゥロミウの海岸】
ペトラトゥロミウの海岸は、愛と美の女神アフロディテ(ヴィーナス)の生誕の場所と言われています。ギリシャ神話によると、波の泡から生まれたアフロディテ(ヴィーナス)はこの海岸にある岩に流れ着いたと言い伝えられています。

<ヒロキティア遺跡>
ヒロキティア遺跡は、キプロス島の南海岸から約6kmに位置する、マロニ川渓谷の丘の傾斜地にあります。ここは紀元前7000〜4000年ころの新石器時代の集落遺跡です。この地には紀元前9000年ころに現在の中近東から訪れた農耕民によって文明が築かれ、彼らによってキプロスの新石器時代がもたらされました。  
集落は、石を並べて円形の基礎を作り、日干しレンガや石を積んで形成された円筒形の建造物が並びます。これらは直径は2〜9mと広さに関してはかなり幅があり、高さは最大で3mほどです。住宅の構図にはなっているものの、土の床の下は墓になっていて、屈葬にして埋められていました。遺跡からは火打ち石、骨を使った道具、石の容器、動物の骨などが発見され、石で作られた人型の置物などもあり、当時の暮らしが垣間見られます。 
 
 
この遺跡からは、キプロス島を通じて地中海全体に文明が広がっていたという過程が見られるというのが特徴です。   
(2023.9.22~23撮影)
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